ショッピングサイトのクレーム対応方法

商売をする上で必ず登場する人物の中に、クレーマーというキャラクターが存在します。
どんな商売でもクレームをつける人がいて、中には理不尽なクレームを言ってくるモンスタークレーマーも、かなり低い確率で出現します。
そのレア度はゲームで言うところの、SSR(ダブルスーパーレア)的存在なのです。
あまり出現しないが、出現したらかなり強いヤツ。
しっかり対応策をとっておきましょう。

1.クレーム対応 基本編

クレーム対応基本マニュアルの作成と共有

商売をしている会社なら、クレーム対応マニュアルは存在しているかと思います。
同じ内容のクレームに対する回答が、対応する人間によって変わってしまっては、企業の信頼は失われてしまいます。
社内で回答を統一させ、誰が対応しても同じ内容になるように共有しておきましょう。
もし、マニュアルがないのなら、早急に作成する必要があります。
そして、社員がいつでも閲覧・確認ができるように共有しましょう。
社内ポータルサイトがあると便利ですね。
また、多くの商品を取り扱う場合は大変です。
一つ一つの商品知識が頭に入っていないと、クレーム対応もできません。
商品が増える度に勉強会をするか、取り扱い商品の規格書などを作成し、どのようなクレームが想定されるのか、あらかじめ調べて記載しておきましょう。

クレームの対応は基本的にメールで行う

ショッピングサイトのクレームは急を要する場合以外は基本的にメールで受け付けることが望ましいです。
お客様に対して失礼かと思われがちですが、サイトのご利用規約やお問い合わせページに一言添えておいてでも、メール対応にするべきです。

クレームをメール対応にするメリット

  • 記録を詳細に残す事ができます。
  • 事実関係を詳しく調べる時間ができます。
  • 感情的にならず、お互いが冷静に対応できます。

しかし、メールでお願いします!といくらサイト上でアナウンスしても、日本全国から電話がひっきりなしにかかってくるのが現状かとも思います。
電話で対応する場合は録音するをお勧めいたします。
なぜなら、後で「言った、言わない」の問題がかなり高い確率で起きるからです。
なので、お客様に録音させていただく旨をお伝えし、会話の内容を一部始終録音しましょう。

2.クレーム対応 モンスター編

モンスタークレーマーとは、理不尽で無茶なクレーム(過剰要求)を言ってくるクレーマーの事。

モンスタークレーマーの心理を知る

彼を知り、己を知れば百戦殆うからず
です。先ずは相手を知りましょう。

《理不尽なクレームを言う人の心理と特徴》

  • 自分の考えが正しいと思っている
    自分の考え方が絶対に正しいという思い込みで、クレーマーになってしまう人です。
  • 常識がずれている(非常識)
    同じような理由ですね。自分の常識が世の中の常識とだいぶ違う人もいます。
  • ストレス解消
    クレームをつけて、謝らせる事で服従心が満たされ、クレーム行為を繰り返す人もいます。
  • 話を聞いてもらいたい
    誰かに自分の気持ちを聞いてほしい。やり場のない感情をぶつけたい。という気持ちの表れです。
  • 勢いがついてしまって、止まらない
    クレームを言い出したら、ついつい感情的になってしまって、収拾がつかなくなってしまった。
  • 物品(金銭)狙い
    クレームをつけて、商品をただで貰ったり、金銭を貰いたい。
  • 病気
    病気により、物事の分別がつけられない人もいます。

モンスタークレーマーに言ってはいけない言葉を心得ておく

ものすごい剣幕で怒りを爆発させながらクレームをつけられても、事実関係が明らかになるまでは、以下のような事を言ってはいけません。

  • 「すみません。」
  • 「はい、そうですね。」
  • 「申し訳ございません。」
  • 「お客様のおっしゃる通りです。」
  • 「すぐに対応させて頂きます。」

このような言葉は、自社に非があると言っているように受け止められてしまいます。
理不尽なクレームに対して、謝る必要はありません。
さらに、お客様のおっしゃる通りでもないし、対応も何もないのに対応させて頂くなんて事もないので、言ってはいけません。
ただ、そうは言ってもクレーマーの高ぶった感情を少しでもやわらげたい。
そんな時に使う言葉はこれです。

「事実関係を確認いたしますので、少々お時間を頂きます。この度は、不快なお気持ちにさせてしまったことをお詫び申し上げます。」という内容で、クレームに対する謝罪ではなく、何かわからないけど自社の製品を買って(サービスを利用して)不快になってしまった事に対しては謝っておきます。

モンスタークレーマーには冷静で毅然とした対応をする

半ば脅し文句を言ってくるモンスタークレーマー。
こんな時も、企業として冷静かつ毅然とした対応をしていきましょう。
脅し文句への対応例を幾つか挙げておきます。

①「訴えます。」「警察に通報します。」「消費者センターに通報します。」「SNSで拡散します。」
訴える。弁護士を雇って、訴えるわけです。商品が数千円・数万円程度であれば、赤字覚悟で訴えるという訳です。
「訴えを起こす(通報する/書き込みをする)のはお客様のご自由でございます。しかしそのことで実害を被った場合は、しかるべき措置を取らせていただきますので、ご了承ください。」


②「上の人に代わってください。」
とにかく会社の偉い人と話がしたいわけです。偉い人ならなんとかしてくれる力を持っているんじゃないかという期待があるのでしょう。
「恐れ入りますお客様、わたくしが担当者ですので、わたくし以外がご対応する事はできかねます。」
と、上司に電話を代わっても状況は変わらない事、また、電話を代わる事はできない事をお伝えしましょう。


③「誠意を見せて下さい。」
お客様は誠意が見たい様です。
あなたは誠意を持って対応していましたか?お客様に伝わらなかった様です。
では、お客様にとっての誠意とは具体的にどの様な事なのでしょうか?
聞いてみないとわかりませんね。聞いてみましょう!
「恐れ入りますお客様、私どもでは、社会通念上の出来うる限りの誠意は尽くさせていただいているつもりです。この上での、お客様がおっしゃる誠意とはどのようなものなのか、私には理解できかねます。お客様から具体的におっしゃっていただけませんでしょうか?。」


「恐れ入りますお客様、弊社の最大限の誠意はお客様のご意見を元に迅速に事実関係をお調べし、対応する事と考えております。」
「そんなものは誠意じゃない。」と言われてしまったら、やはり聞くしかない。
「では、お客様のお考えになる誠意とは具体的にどの様な事でしょうか?」
ここで金品の要求があった場合は、すかさず
「お客様がお考えになる誠意の金額とはおいくらくらいなのでしょう?」
と、具体的な金額や具体的な要求を聞き出してください。
金額を言ってきたならば、
「では、お客様から具体的な金品要求があった旨を、弊社法務部(または、顧問弁護士)および、専門家に相談させていただきます。」
「そっちが聞いてきたんでしょ?」
「恐れ入りますお客様、弊社法務部(または、顧問弁護士)および、専門家が判断し、しかるべき対応をいたします。お電話お切りいたします。失礼します。」

強制終了。

具体的な金額や内容を言ってこない場合は、
「具体的なご要望をいただけない限り、これ以上は、対応いたしかねます。」
「恐れ入ります。お電話お切りいたします。」

強制終了。


④「詐欺だ!」
どういった点で詐欺と言い出したのかにもよります。
商品画像が明らかに違うものだと言っているのであれば、突っぱねる前に自社の商品ページの画像とお客様のお手元に届いた商品を見比べる必要があります。
私が以前働いていた会社では、お客様にお願いして写真や動画をすぐに撮って送ってもらっていました。
話は逸れますが、このようなクレームを避けるためにも、制作部は実際の商品を見てから商品ページを作るべきだと私は思います。
商品ページの画像も問題なく、商品詳細についても自社の非が無かった場合は、詐欺行為の立証は極めて難しいでしょう。
何より自社が、騙すつもりが無かったのですから、詐欺行為の証拠をだす事は難しいことです。
「恐れ入りますお客様、弊社ではお客様を騙すような行為は一切しておりません。」
それでも「詐欺だ!」と仰るなら、その後どうされたいのか伺ってみてください。
大抵①辺りの事を言い出すのかと思います。


「あなた自身はどう思うの?」
個人的にどう思うのか?という意見を聞きたい様です。
しかし今は企業としての対応をしている最中ですので、個人的な意見を述べるべき時ではありません。
「恐れ入りますお客様、わたくしはあくまで◯◯社の担当者としてお話をしております。個人的な見解は申し上げられません。」


「土下座しろ。」
土下座が見たい様です。見たら怒りが収まるのでしょうか?
「恐れ入りますお客様、土下座を強要することは、人権上できかねますので、お断り申し上げます。」
ちなみに土下座を無理に強要してきた場合は、強要罪となります。(刑法 第223条)


⑦「クビにしろ。」
このお客様には、一体何の権限があるというのでしょう?
想定されるシーンとしては、部下から回ってきたクレーム対応ですね。
(先程は上司に代われないと言いましたが、心折れて代わった時など。ですね。。。)
「担当者につきましては、社内で指導し改善いたします。」
「担当者の処分につきましては、弊社の内規に従って行います。」

3.優良クレーマーなのか、モンスタークレーマーなのか見極める

優良クレーマーとは、自社の商品やサービスに対して、有益な改善要求を言ってくださるクレーマーの事。

もはやクレーマーではなく神様です。とても大切にするべきお客様です。
本来であればこの様なお客様に何かお礼をしたいところですね。
クレーム対応をする時に見極めたいのが、その人物が優良クレーマーなのか、またはモンスタークレーマーなのか。
話をよく聞いて、どちらなのかを見極めましょう。
まず、優良クレーマーの方とモンスタークレーマーの方の話し方はかなり違いがある様に思います。
モンスタークレーマーの方は、キレています。優良クレーマーの方は普通の調子でお話しされる事が多いです。
話を進めていく中で、わかるかと思うのですが、
先程の脅し文句キーワードが出てきた場合は、落ち着いて話していても、モンスターの可能性が。
気をつけましょう。

《モンスターキーワード》これが出てきたらモンスターの可能性が。

  • 「誠意を見せてください。」
  • 「SNSで拡散します。」
  • 「詐欺ですね。」
  • 「土下座してください。」
  • 「クビにしてください。」

4.優良クレーマーの心を鷲掴みにして、ファンに変える

企業として、貴重なクレームを頂いて、改善して終わりではもったいないです。
優良クレーマーは自社の為に改善点を教えてくれる大切なお客様です。
そんなお客様が自社のサービスをリピートしてくれたら、それは自社にとって優良顧客になるのではないでしょうか。
では、どのようにしたら優良クレーマーから優良顧客に変える事ができるのでしょう?
まずはお客様の声に素直に耳を傾ける事。
クレーム内容をしっかりと聞くという事です。
次に、その内容を迅速に社内に反映させ改善をする事
早さも、改善の質も大切です。
改善した結果とともに、ご意見をくださったお客様にお礼のお手紙またはメールかお電話を入れましょう。
こんな事でリピート優良顧客になるわけがない。
そう思われるかもしれませんが、企業としてやれる事は全てやるべきだと私は思うのです。
やらないよりやったほうがいい。ならば、やりましょう。
1円でも多く会社の利益を生み出せる可能性のある事をやった企業とやらなかった企業の未来は大きく変わることでしょう。
間違えても、お礼の品物や金品などを送ってはいけません。その事が世間に広まったら、モンスタークレーマーを増やすだけです。

まとめ

いかがでしたか?商売をする上で必ず登場するクレーマーというキャラクター。
その中でも、特に厄介なのがごく稀に出現するSSRモンスタークレーマー。
出くわしたら、大変かもしれませんが、とてもレアなので丁寧に、そして毅然とした態度で対応しましょう。
また、クレームは会社を良くする大切な財産です。
クレームを伝えて頂いたお客様に感謝し、クレーム内容を大切にしていきましょう。