
これまで多くのウェブサイト管理者が利用してきたユニバーサルアナリティクス(UA)は、2023年7月1日にサポートが終了します。今後はGoogleアナリティクス4(GA4)が後継サービスとなり、移行を進めている方も多いでしょう。そんななかで、GA4はさまざまな変更点があり、UAとは大きく異なる部分も存在するため、違いがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、GA4とUAの違いと7つの変更点について解説していきます。
ここが違う!UA(旧GA)とGA4のアクセス解析の違い
そもそも、UAとGA4では計測の単位や方法が異なります。最も根本的な部分から異なっているため、その違いについて理解しておきましょう。
UAはセッションを重視
UAではページに対してセッション重視でレポートや分析を行っていました。ページへのアクセスに対して、どのように訪問されているか、といった点を中心に分析をしていたため、「セッション」や「直帰率」「離脱率」などの指標が生まれています。
GA4はイベントを重視
対して、GA4ではユーザーを軸としたイベントを重視するようになっています。ページの閲覧も一つのイベントとして計測するようになり、サイト内での行動や態度の変容も理解しやすいようになりました。
UA形式の分析では、ユーザーが異なるデバイスを利用しても別々に集計されてしまいます。しかし、近年では一人で複数のデバイスを利用することが多くなり、その集計方法では分析内容の正確性が損なわれるようになりました。そこで、GA4では異なるデバイスからのアクセスであっても、ユーザーを軸にイベント単位で集計できるようになったため、これまで以上にユーザーの行動を把握しやすくなっています。
UAとGA4で主に変わった7つの変化
UAとGA4を比較し、大きく変わった点を7つの変化として解説します。
1.レポート画面が変わった
レポート画面のUIは大幅に変更され、大きく「集計用のレポート」と「分析用のレポート」に分けられました。
UAでは、以下の図のようなデフォルトで用意されているレポートが利用できます。これとは別に「カスタムレポート」によって分析用のレポートを作成することができました。
GA4でもUAと同じように、以下の図のようなデフォルトのレポートが用意されています。
GA4で分析用のレポートを作成したい場合には、「探索」機能から独自にカスタマイズしたレポートを作成することが可能です。
2.全てイベントとして計測されるようになった
前述の通り、GA4では全てイベントとして計測されるようになりました。UAでは「カテゴリ」「アクション」「ラベル」「値」を設定する必要がありましたが、GA4ではこれらの概念がありません。「イベント名」と複数のパラメータのみのシンプルな仕様となっています。より詳しくはこちらの記事をご覧ください。
参照GA4(Googleアナリティクス4)のイベントとは?設定方法やUAとの違いを徹底解説
3.ウェブとアプリを一つのプロパティで計測するようになった
UAはウェブの解析のみを行っていましたが、GA4ではユーザーを軸とした分析思想となったため、ウェブとアプリを一つのプロパティで計測するようになりました。これにより、複数のデバイスを利用するユーザーの行動を可視化できるようになっています。
4.機械学習モデルを搭載した予測分析が可能になった
GA4では機械学習によって自動的にデータが解析され、数値の変化を自動で検出したり、ユーザー行動を予測してグルーピングしたりできるようになりました。
数値変化を自動で検出
データをもとに数値の変化を自動的に検出し、表示されるようになっています。
コンバージョンをAIでそれぞれの流入元に最適配分
アトリビューションはコンバージョンに至るまでの経路を確認し、広告やクリックなどの様々な要素に貢献度を割り当てることを表します。ユーザーが複数回訪問した後にコンバージョンに至った場合、機械学習によってそれぞれ流入元に最適配分されるようになりました。
ユーザーの行動を予測してグルーピング
ユーザーの行動をもとに機械学習によって予測してグルーピングできるようになっています。GA4の「湯遅く指標」として機能が存在していますが、この予測モデルを利用するためにはいくつか条件を満たさなければなりません。例えば、過去28日間の7日間で対象の予測条件をトリガーしたリピーターが1,000人以上必要、などの条件があります。
条件を満たしていないと「利用不可」と表示されます。詳細な条件などについては公式ヘルプをご確認ください。
5.Google Signalとの連携強化
Google SignalはGoogleにログインしているユーザーのアカウント情報とGAの訪問データを紐づけるための機能です。従来は「広告のリターゲティング」「年齢・性別・興味関心のレポート」など利用範囲が限られていました。しかし、GA4ではGoogleのサービスにおける利用者の行動をもとに次のことが可能になります。
- クロスデバイスなどでユーザーを特定
- 属性情報をユーザーに紐づけてGA4に送信
- Google広告のリターゲティングでの活用
GA4ではすべてのレポートで「ユーザーを特定するID」として利用することができます。
6.Googleタグ形式への移行
Googleタグ(gtag.js)もGoogle Signalと同時期にリリースされた機能であり、Googleのさまざまなサービスで横断的にイベントデータを送信できるフレームワーク・APIを表します。GA4では、GoogleタグかGoogle Tag Manager(GTM)を利用して計測することができます。
7.BigQueryが利用可能になった
BigQueryはGoogleのクラウド型のデータベースです。数テラバイト(TB)や数ペタバイト(PB)の大容量データであっても高速に処理できます。UAでは無料版ではBigQueryと連携することができませんでしたが、GA4からは無料版でも連携できるようになっています。GA4とBigQueryを連携することで、データを組み合わせてより柔軟で詳細な分析を実現することが可能です。
GA4とBigQueryの連携については、こちらの記事をご覧ください。
参照GA4とBigQueryの関係とは?概要からできること、連携方法までを詳しく解説
UAとGA4の違い一覧
大きく変わった7つの変化と併せて、UAとGA4を比較した際の違いを一覧として簡単に解説します。
データの閲覧方法の違い
UAでは多くのレポートがひとまとめに表示されるようになっており、独自のレポートは「カスタム」からカスタムレポートを作成するものでした。
GA4では、「集計用のレポート」として「レポート機能」、「分析用のレポート」として「探索機能」によってレポートの分類が大きく分けられています。
計測仕様の違い
データの計測仕様はUAがセッション単位であるのに対し、GA4では全てがイベント単位に変更されています。
UA | GA4 | |
---|---|---|
PV | PVとして個別計測 | イベント単位で計測 |
イベント | イベントとして個別計測 | |
Eコマース | Eコマースとして個別計測 |
指標・分類の違いと変更点
計測仕様の変更に伴い、指標や分類も次のように変わりました。
UAの指標 | GA4の指標 |
---|---|
セッション | - ※1 |
PV | 表示回数 |
新規ユーザー | 新しいユーザー |
直帰率・離脱率 | 直帰率※2 |
平均ページ滞在時間 | 平均エンゲージメント時間 |
目標の完了数 | コンバージョン |
コンバージョン率 | セッションのコンバージョン率 |
ページ別訪問数 | – |
※1:UAとGA4ではセッションの定義が大きく変更されています。変更点の一例は次のとおりです。
項目 | UA | GA4 |
---|---|---|
セッションの滞在時間 | 最後のページ表示時間-最初のページ表示時間 | 最後のイベント発生時間-session_startのイベント発生時間 |
セッション最長の長さ | 24時間 | 制限なし |
流入元が変わったときの挙動 | 新しいセッション | 新しいセッションにならない |
日をまたいだ場合のセッションの挙動 | セッションが切れて別セッションになる | 別セッションにならない |
参照アナリティクスヘルプ-[GA4]アナリティクスのセッションについて
※2:GA4がリリースされた直後は廃止されていましたが、2022年6月以降にGA4でも利用可能となりました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
参照GA4に復活した直帰率-UAとの違いや各種レポートで確認する方法
広告パラメータルールの変更
広告パラメータはURLの後ろに付与される変数のことであり、出稿した広告やメルマガなどのどこからの流入かを判別するために用いられます。基本的にはUAと同じものをGA4でもそのまま利用することが可能です。
広告パラメータルールで使用するUTMパラメータは、サイト名や媒体名を表す「utm_source」と、広告の種類を表す「utm_medium」が必須です。加えて、GA4からはキャンペーンの費用をインポートするための「utm_id」が任意で追加可能となりました。
UTMパラメータを設定する場合には、Googleが提供する「Campaign URL Builder」を利用します。
その他の違い
その他の変更点・違いを簡単にまとめると次のとおりとなります。
項目 | UA | GA4 |
---|---|---|
自動収集イベント | なし | あり |
BigQuery連携 | 有料版のみ | 無料版でも可 |
デフォルトチャネルグルーピング | 編集可 | 編集不可 |
カスタムチャネルグルーピング | あり | 廃止 |
セグメント | すべてのレポートで利用可 | 探索レポート内のみ利用可 |
機械学習 | なし | あり |
よくある質問
UAからGA4への移行は必要ですか?
UAからGA4への移行はあくまでも推奨されるものであり、強制されているわけではありません。しかし、UAは2023年7月1日にサポートが終了することが決まっており、より包括的なデータ収集と分析を実現するためにもGA4への移行を検討することをおすすめします。
UAとGA4の最大の違いは何ですか?
UAがCookieを使用してユーザーの行動を追跡するのに対し、GA4ではCookieを使用せずにユーザーの行動を追跡します。より厳密には、GA4でも利用者の同意に基づくファーストパーティCookieが利用されていますが、従来よりもユーザーのプライバシー保護が重要視されています。
UAとGA4で利用可能な機能に違いはありますか?
UAがセッション単位、GA4がイベント単位という計測仕様の変更により、いくつかの利用可能な機能に違いがあります。また、UAとGA4で同じような指標であっても、計測仕様の違いにより集計値に違いが出ることもあるため注意が必要です。
まとめ
UAとGA4の主な違いは、計測仕様の変更・レポート画面の刷新・アプリの計測の有無・機械学習の有無などが挙げられます。GA4はUAに比べて、包括的なデータ収集と分析を実現するために作られました。UAのサポート終了が迫っていることもあり、早いうちにGA4への移行を検討することをおすすめします。
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