GA4の経路データ探索とは?概要からマーケティングへ活かすレポート作成方法

Googleアナリティクス4(GA4)は従来のユニバーサルアナリティクス(UA)の後継であり、UAのサポート終了予定に伴い移行している方も多いでしょう。そんなGA4では、ユーザーの行動をチェックするための機能として「経路データ探索」が利用できます。経路データ探索はマーケティングにも活かせるため、ぜひとも覚えておきたい機能の一つです。

この記事では、経路データ探索の概要からレポートの作成方法、利用時の注意点について解説します。

経路データ探索とは

経路データ探索とは、GA4のカスタムレポート機能である「探索」で利用可能なレポートの一種です。ユーザーの行動経路をツリーグラフで表示することができ、ユーザーがどのような経路でサイト内を遷移しているのか、などを確認できます。

UAを利用していた方であれば、「行動フロー」レポートと似たような機能と考えるとわかりやすいでしょう。経路データ探索では、始点からの経路データだけでなく終点からの経路データも確認できます。ユーザーがWebサイト内でどのようにページを遷移しているのか、どのような行動を取っているのか、といったことが確認できるため、Webサイトの改善やマーケティングに活かすことが可能です。

この次の章からは、「Google公式ヘルプ(経路データ探索)」をもとにした経路データ探索機能の使い方を解説します。

経路データ探索の設定・確認方法

経路データ探索のレポートを作成するためには、「探索」を選択してテンプレートの「経路データ探索」をクリックします。

デフォルトでいくつかの項目が選択されているため、一度選択項目をクリアするために「最初からやり直す」のリンクをクリックします。

画像のように、「始点」「終点」を選択する画面に遷移したらレポートを作成する準備は完了です。ここでは、「始点」から経路データ探索レポートを作成してみましょう。

始点の設定

「始点」の枠内をクリックすることで、「イベント名」「ページタイトルとスクリーン名」「ページタイトルとスクリーンクラス」の3つから選択可能です。なお、スクリーン名・スクリーンクラスはWebサイト計測では利用しないため、実質「イベント名」と「ページタイトル」の2種類から選択することになります。

今回は、このなかから「ページタイトルとスクリーン名」を選択して先に進めます。

ページタイトルが表示されるため、始点としたいページタイトルを選択します。今回は「Home」を選択しました。

「Home」からの遷移先がツリーグラフで表示されるようになります。表示される数値はイベント数です。

各ステップの設定

各ページタイトル(ノード)をクリックすることで、次の遷移先が「ステップ」として表示されます。

各ステップで「イベント名」「ページタイトル」を変更することも可能です。

各ステップの鉛筆マークを選択すると、表示するノードの設定が行なえます。特定のページ遷移や、イベントの遷移をチェックしたい場合に活用するとよいでしょう。

表示したいノードにチェックを入れ、表示したくないノードのチェックを外して適用ボタンをクリックします。ここでは、「view_item_list」と「scroll」のノードのチェックを外しました。

ステップ2で表示されるノードから「view_item_list」と「scroll」が除外されました。

ノードの設定

それぞれのノードを直接除外することも可能です。対象のノードを右クリックし、「ノードを除外」から「選択したもののみ」「すべての経路から」除外することができます。画像の例では「(not set)」のノードをすべての経路から除外します。

すべての経路から「(not set)」のノードが除外されました。

その他にも、「ユーザーエクスプローラー」を使って特定のユーザーの行動に絞り込むことも可能です。

終点からさかのぼる逆引き経路の設定・確認方法

終点からさかのぼる逆引きの経路データ探索も可能です。特定のページやイベントに対して、ユーザーがどのような遷移で到達したのかを確認したい場合に利用できます。

先ほどと同じように、はじめに「最初からやり直す」のリンクをクリックしてから終点を設定しましょう。

違いはステップの向きが反対になっていることぐらいであり、その後の操作は始点から開始した場合と同じです。分析内容や用途に合わせて順引き・逆引きを使い分けましょう。

経路データ探索の設定項目

経路データ探索では、オプションの設定項目を使うことでより細かいレポートの作成が可能です。ここでは、経路データ探索で設定可能な4つの項目について解説します。

特別なノードのみ表示

「ノードの種類」で設定可能な項目であり、連続して同じイベント・ページ表示が発生した場合の表現方法が設定できます。デフォルトの有効状態では、連続した同じイベント・ページ表示は遷移していないと判断されてカウントされません。

「特別なノードのみ表示」をオフにすると、連続した同じイベント・ページ表示がカウントされるため、画像の例のようにイベント数が異なります。

内訳

内訳を利用することで、ツリーグラフを任意のディメンションで分割できます。「イベント名」や「デバイスカテゴリ」などから選択でき、今回は「新規/既存」を選択しています。

内訳を設定すると、ツリーグラフの下部に内訳項目が表示されます。各項目を選択していない状態が総数であり、それぞれの項目をマウスオーバー、またはクリックすることで内訳が表示されます。クリックすることで対象の内訳項目に固定できるため、分析などの際に活用するとよいでしょう。

フィルタ

フィルタは特定の条件のもとにデータを絞り込む機能です。フィルタ項目はディメンションから選択できるため、絞り込む対象の項目がない場合は「変数」からディメンションを追加しましょう。画像の例では、「デバイスカテゴリ」から「mobile」に該当するデータのみを表示するように設定しています。

デバイスカテゴリが「mobile」のデータのみが表示されるようになりました。フィルタは複数設定できるため、内訳と併せて利用することで細かいデータ分析に活用できます。

セグメント

セグメントは計測しているデータのなかから条件を指定し、特定のユーザーを対象としてデータを抽出する機能です。例えば、「コンバージョンに至ったユーザー」というような条件でデータを抽出できます。経路データ探索と合わせることで「コンバージョンに至ったユーザーのページ遷移」などが確認できるようになります。

セグメントはカスタムセグメントを作成するほか、デフォルトでもいくつか用意されているため用途に合わせて活用しましょう。

GA4のコンバージョン設定については、こちらの記事で詳しく解説しています。

参照GA4(Googleアナリティクス4)のコンバージョンの基本!設定・解析方法、計測されない場合の対処法まで

経路データ探索でレポートを作る際の注意点

経路データ探索は便利な機能ですが、利用する際にはいくつか注意すべき点があります。

1つ目は、データの保持期間です。無料版のGA4ではデフォルトで2ヵ月、最長でも14ヵ月しかデータは保持されません。複数年に渡るデータの分析は難しいため、そのような使い方をする場合には有料版の「Googleアナリティクス360」の導入を検討しましょう。

GA4のデータ保持期間を変更したい場合は、「管理」→「データ設定」→「データ保持」→「イベントデータの保持」から変更できます。

2つ目の注意点は、サンプリングが掛かる可能性がある点です。サンプリングはイベント単位で間引かれるため、イベントでデータを取得しているGA4では不正確なデータになる可能性があります。また、Googleシグナルの設定を有効にしている場合、レポートから一部のデータを除外する「しきい値」が適用される可能性もあります。

サンプリングやしきい値が適用されているかどうかは、画面右上のボタンをクリックすることで確認可能です。正確な情報で分析をするために、画像の例のように警告が表示されていないかを確認するようにしましょう。

経路データ探索を使用してマーケティングへ活かそう

経路データ探索を活用すると、ユーザーの行動を把握できるようになります。特定のページからのページ遷移を分析することでWebサイトのユーザビリティを向上させたり、コンバージョンしたユーザーのページ遷移を分析することでより効果的なマーケティングに繋げたりと、さまざまな分析に活用可能です。

GA4は無料で利用でき、経路データ探索も一度使い方を覚えてしまえばそこまで難しいものではありません。Webサイトを通じて「問い合わせ件数を増やしたい」「より効果的なマーケティングを実施したい」と考えられている場合には、ぜひ経路データ探索を使ってみてはいかがでしょうか。