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GA4(Google アナリティクス 4)とは?
Googleアナリティクスとは、Googleが提供しているアクセス解析ツールです。2005年から提供を開始し、2020年10月に最新版の「GA4」がリリースされました。
GA4はアプリ内・Web内計測のほか、機械学習モデルを活用した予測機能の導入など計測方法や分析できる内容が大きく変更されています。
GA4をいつまでに導入した方が良い?
従来の「ユニバーサルアナリティクス(UA)」は2023年7月に計測を終了することがGoogleから発表されています。そのため、今後のサイト分析にはGA4の導入が必須になります。
GA4がリリースされた背景
GA4がリリースされた背景には、「ユニバーサルアナリティクスでは、急速に変化しているユーザーの行動に対応しきれなくなった」ことが挙げられます。
Googleアナリティクスが開発された2005年と現在では、ユーザーとインターネットの関係は大きく変化しています。
一家に一台のパソコンを家族で共有してインターネットを利用していた時代から、今では一人一台スマートフォンを持つことが当たり前になりました。また、ここ数年でスマートウォッチやスマートスピーカーなどの「IoTデバイス」の普及も急速に浸透しています。
従来のGAはWebサイトメインの分析ツールのため、現代の主なユーザー行動であるアプリや動画、SNSなどと連携させた分析が難しい、といった背景がありました。ブラウザから取得できるCookie情報だけではユーザーの行動を正確に把握しきれず、デバイスやブラウザを超えてユーザーを判別する仕組みが必要になったのです。
こういった背景をもとに、GA4では多様なメディアを横断して適切なデータを取得する仕組みへとアップデートされました。
GA4と旧GA(ユニバーサルアナリティクス)との違い
従来のGAである「ユニバーサルアナリティクス(UA)」では、「セッション」や「ページ」を軸に計測をしていました。しかし、今回リリースされたGA4では「イベント」を軸にした計測へと変わっています。これによって、GA4ではセッションは「イベント」として計測されます。
GA4で「イベント」として計測されるようになった理由
Webとアプリを横断して計測する場合、アプリにはそもそも「ページ」がありません。また、近年5Gの普及もあり、Webサイト上やアプリ内で動画コンテンツを視聴する機会が非常に多くなりました。
そのため、数十秒程度の動画と30分の動画では同じ視聴でも意味合いが変わってきます。同じページビューとして計測することに対して、実際のユーザー行動の実態と違和感が出てきていました。
そこで「ページ」単位ではなく、実際にユーザーが行動したデータを計測できるように進化したのです。GA4ではイベント単位でのデータを見るようになり、レポート構成も変更されています。つまり、GA4はユーザーの行動をより可視化できるツールへとアップグレードされたツールなのです。
GA4の主な機能
GA4では、今後の企業のデータ戦略にも関わる根本的な部分も大きく変更点が生じています。ここでは、GA4の特徴的な機能をご紹介します。
1. Webとアプリを横断的に計測できる
GA4では、プロパティ内に「データストリーム」という新しい項目が追加されました。データストリームには「iOS」「Android」「ウェブ」の3つの項目があり、各データストリームごとに分かれています。
Webサイト用のデータとFirebase経由で計測されたアプリ経由のデータを統合して計測することで、Webとアプリなどのようにデバイスやプラットフォームに左右されることなく、ユーザーの行動を認識することが可能になりました。
2. 機械学習の導入
GA4では、イベントを元にGoogleの機械学習を使って過去データから将来の予測ができる「予測指標」が導入されました。予測指標を使用すると、ユーザーの今後の行動を予測することが可能になります。
具体的には、「購入の可能性」「離脱の可能性」の2つを予測することができます。「購入の可能性」は、サイト(またはアプリ)を訪問したユーザーが、今後7日以内に商品購入に至る可能性を予測する指標です。
また、「離脱の可能性」は、最近アクティビティのあったユーザーがサイト(またはアプリ)を今後7日以内に利用しなくなる可能性を予測する指標のことです。
さらに、「収益予測」では過去28日間に操作を行ったユーザーが、今後28日間に達成するコンバージョンからどれくらいの収益が見込めるか、を予測することが可能です。
これらの予測機能を活用すれば、売上の推定や、購入に至る可能性が高いユーザーに対してGoogle広告でアプローチをする、といったマーケティング戦略に役立てることができるでしょう。
予測機能の導入には3つの条件が必要
機械学習を活用した予測機能の導入には、以下の3つの条件を満たしている必要があるので、注意しましょう。
- 購入ユーザーまたは離脱ユーザーのポジティブサンプルとネガティブサンプルの最小数。関連する予測条件をトリガーしたリピーターが7日間で1,000人以上、トリガーしていないユーザーが1,000人以上必要。
- モデルの品質が一定期間維持されていること。
- 購入の可能性と離脱の可能性の両方を対象とするには、プロパティは purchase と in_app_purchase の少なくともどちらか一方のイベント(自動的に収集される)を送信する必要がある。
詳細はアナリティクスヘルプ[GA4]予測指標よりご確認ください。
3. プライバシー重視のデータ収集
GA4は、GDPR(EU一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などのデータ規制に準拠したツールへと変更されました。EUやカリフォルニア州に限らず、プライバシー保護強化の動きは世界的に活発になっています。
こういった背景から、現在ではCookie情報のみでユーザーの行動を追跡することが困難になってきていると言えるでしょう。特に、サードパーティのCookieが段階的に廃止される方向であるため、GA4はデータ規制に対応した仕様になっています。
なお、従来のユニバーサルアナリティクスでは、データ保持機能を使用すると、保存されたデータがアナリティクスのサーバーから自動的に削除されるまでの期間を設定することができました。GA4では、コンバージョンを含むユーザー単位のデータは、最大 14 か月の保持期間に固定されています。
GA4導入のメリット
GA4から搭載された前項の主な機能は、そのまま導入のメリットと言って良いでしょう。ここでは、さらに2つメリットを解説します。
データ計測の設定が簡単になった
GA4では、「スクロール数」「離脱クリック」「サイト内検索」「動画エンゲージメント」などのイベントが自動で計測可能になりました。
ユニバーサルアナリティクス上では個別でタグの設定が手動で必要で、コードに見慣れていない方には大変な作業でした。しかし、GA4ではON/OFFスイッチの切り替えだけで計測できるため、アナリティクスの設定に慣れていない方でも、さまざまなイベント計測が簡単に行えます。
ただし、任意の条件(タイミング)でイベントを計測したい場合には、GTM(Google タグマネージャー)やgtag.js上での個別設定が必要になりますので、注意してください。
データをBigOueryへエクスポートできる
これまで有償版「GA360」のみに搭載されていた、BigQuery(Googleの提供するDWHサービス)へのデータエクスポート機能が、GA4では標準搭載されました。
GA4で計測したイベントのローデータとBigQueryを連携すれば、広告やMAツールへの活用やユーザーのWeb行動データを用いたセールス施策、顧客サポートへの活用などさまざまなデータの活用が可能になります。
GA4導入するデメリット
とても便利になったGA4ですが、デメリットももちろんあります。ここでは、2つご紹介します。
GA4に関する学習コストの発生
GA4は、ユニバーサルアナリティクスの延長で活用できるツールではなく、「新たなアクセス解析ツール」として理解しなければなりません。導入直後は、GA4とユニバーサルアナリティクスとの違いも含めて、機能を学びながら運用していく必要があるでしょう。
GA4に関する情報が少ない
従来のユニバーサルアナリティクスに関する解説書は多数存在しています。しかし、GA4に関する解説書はまだまだ少なく、残念ながらWeb上でも解説記事も充実しているわけではありません。そのため、少ない情報の中で運用していく必要があります。
GA4の設定方法
ここでは、すでにユニバーサルアナリティクスを使用していて、GA4を並行して使用する想定で解説しています。これから使用する方は、ぜひ参考にしてみてください。
STEP1. GA4プロパティを作成
GA4でデータを取得するには、Google アナリティクスの管理画面 > 左下の「設定」> プロパティ内「GA4 設定アシスタント」をクリックします。
GA4の設定自体はガイドに従って、数回クリックするだけで完了するので、とても簡単です。なお、完了するとGA4のプロパティが新たに作成されますが、既存のプロパティには影響はありません。
STEP2. GTMからタグを追加する
Google タグマネージャー(GTM)の管理画面 > 「新しいタグを追加」をクリックしてください。次に、タグタイプ「Google アナリティクス:GA4 設定」を選択します。
タグの設定画面で、計測を行うサイトの「測定ID」を入力します。なお、測定IDはGoogle アナリティクスの設定 > データストリーム > 計測するサイトもしくはアプリを選択 から確認できます。
測定IDを入力したら実際にサイトにアクセスしてみましょう。リアルタイム画面に現在のユーザーが反映されていれば、設定は完了です。
よくある質問
GA4でのコンバージョン設定の仕方を教えて下さい
GA4では、コンバージョンの設定を以下の手順で行います。
- コンバージョンとしたいイベントを作成する
- 作成したイベントを「コンバージョン」として設定する
まずは管理画面のイベントから、イベントを作りましょう。続いて、「設定」 > 「イベント」から、作成したイベント名の右側にある「コンバージョンとしてマークを付ける」をオンにすれば、設定完了です。
GA4でのコンバージョン設定では、パラメータを付与する必要があります。予めイベントやイベントパラメータについて理解しておく必要があるので、注意しましょう。
詳しくは下記コラムをご覧ください
参照GA4(Google アナリティクス4)のコンバージョンの基本!設定・解析方法、計測されない場合の対処法まで
ランディングページはどこで確認できますか?
GA4では、ランディングページは「リンク先ページ」という名称に変わりました。ディメンションに「リンク先ページ」を追加すると、ランディングページごとのCV数などを確認できます。
ユニバーサルアナリティクスとGA4で変更された指標名を教えてください。
従来のユニバーサルアナリティクスで使われていた指標の中で、GA4では以下のように変わっているものがあります。
ユニバーサルアナリティクス | GA4 |
ページビュー数 | 表示回数 |
ユーザー | ユーザーの合計数 |
直帰率、離脱率 | エンゲージメント |
ユニバーサルアナリティクスとGA4は全く別ものの分析ツールです。そのため、計測方法の違いなどから定義の近い指標であっても、数値が一致しない場合があることを認識しておきましょう。
まとめ
ユニバーサルアナリティクスの計測終了が発表され、GA4の導入は必須かつ急務となりました。プロパティの作成自体は数分でできる作業ですが、今までカスタムディメンションやeコマーストラッキング、イベントトラッキングなどを実装していた場合、移行は簡単ではありません。場合によっては、専門家に依頼する必要も出てくるでしょう。導入の際は、余裕を持ってスケジュールを立てておくことをおすすめします。
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