クレショフ効果とは、まったく同じ物でも、前後に映る映像により、全く違ったものに見えてしまう、という現象です。
ターゲットを限定して商品PRをする際などに大変有用ですので、商品PRなどにご興味をお持ちの方は、ぜひとも知っておきたい効果です。
クレショフ効果とは?
クレショフ効果とは、まったくつながりのない前後の画像や映像を、無意識のうちに関連付けてしまうという心理現象です。
そのため、全く同じ画像・映像を見ていても、前後に配置される物により、全く違ったものに見えてしまう、ということを指します。
クレショフ効果の由来
「クレショフ効果」という名前の由来は、その発見者である、ソビエトの映画作家、レフ・クレショフにあります。
クレショフは1922年に、とある実験により、この効果を実証しました。
前後の情報で印象が変わるクレショフ効果の実験とは
では、クレショフ効果が実証されたときの実験とは、いったいどのような実験だったのでしょうか?
その説明の前に、以下の画像をご覧ください。
画像の左側に映っている男性を見て、皆さんはどんな印象を抱くでしょうか。
男性はどんな表情をしていて、どんな気持ちを抱いているでしょうか。
皆さんもお気づきかとは思いますが、3枚目の絵に映っている男性は、すべて同一人物であり、表情もまったく同じです。
違うのは、男性の右側に描かれている画像だけです。
しかも、これらの画像と左側の男性には、何の関連性もありません。
しかし、実際のところはどうでしょう。
ぱっと見、3枚の写真それぞれで、男性の表情が少しずつ違って見えた方、多いのではないでしょうか。
これがまさに、クレショフ効果です。
本来であれば全く関係のない2つの画像なのに、私たちは無意識のうちに、両者に関連性を探してしまいます。
そしてその結果、本来は全く同じ画像なのに、違った画像に見えてしまう、というわけです。
実際、クレショフがロシアの映画大学内で行った実験でも、右側に料理が描かれている1枚目の絵では男性の印象は「空腹」、葬儀の様子が描かれた2枚目の男性は「悲しみ」、そして、可愛いらしい女性が描かれた3枚目では「欲望」という印象を、それぞれ抱いた被験者が多かったようです。
クレショフ効果でイメージの力を借りて効果を向上させよう
さて、クレショフ効果がどんな効果なのかがわかったところで、今度はクレショフ効果の活用の仕方について、お話しします。
クレショフ効果は、人の心理が関わりますので、他人を動かすシチュエーションで効力を発揮します。
例えば、営業。
営業のみならず、すべてのコミュニケーションは「第一印象が勝負」と言われます。
その第一印象を決定づける上で、クレショフ効果を活用できます。
第一印象で「この人はいい人そうだな」と思われれば、クライアントが自分の話に耳を傾けてくれやすくなりますし、逆に、「この人なんだか気難しそうだな」と思われれば、その後の話がやりづらくなってしまいます。
そこで何とかして、さわやかなイメージの第一印象を与えたいところですが、笑顔を作るのが苦手だったり、生来強面だったりという方も一定数いらっしゃいます。
そんな方こそ、クレショフ効果の力を借りましょう。
例えば、あなたが可愛がっているペットや、最愛の子どもさんなどと一緒に映った写真を、クライアントに送っておくなど。
横にいるペットが愛くるしかったり、子どもさんの笑顔が何とも言えずかわいらしかったりすれば、横に映っているあなたの笑顔も、クレショフ効果で、素敵な笑顔に見えるはず、ということです。
今ではオンラインで会話することも多いでしょうから、ラインやチャットツールのアイコンに、クレショフ効果を活用してみるのもいいかもしれません。
クレショフ効果をデザインに活かす為には
では、クレショフ効果をデザインに活かすためには、どのような工夫をすればよいのか、最後にそのポイントを3つ、お伝えします。
①イメージの組み合わせで伝えたいメッセージを強調させる
クレショフ効果をデザインに活かす上で最も重要なのは、「イメージの組み合わせ」です。使う画像が同一だとして、どの画像を横に配置してメッセージを発信するか、そこがポイントです。
例えば、化粧品。
全く同じパッケージを映したとしても、見た目の若々しい50代の女性が一緒に映っていれば、その化粧品は「ああ、アンチエイジングに効果のある商品なんだな」というメッセージを訴求できるでしょう。
一方で、まだお肌もみずみずしい20代の女性が一緒に映っていたらどうでしょう。
おそらく、「この化粧品は若者に(も)人気なんだ」「若者でも手の届くリーズナブルな商品なんだ」というメッセージを訴求できるはずです。
このように「どんなイメージを組み合わせるか」が、クレショフ効果活用における最大のポイントです。
②人を使うときはターゲット幅に注意
しかし、クレショフ効果の活用には、注意点もあります。
それは、クレショフ効果で人を活用すると、ターゲットが限定されてしまう、ということです。
たとえば、市販の汗拭きシート。
本来であれば、男女問わず使える製品として売り出していたとしても、きれいな女優を使って宣伝したら、男性が買いづらくなるでしょうし、逆に筋肉質の男性を使って宣伝したら、女性が買いづらくなるでしょう。
おそらく、細身で童顔、色白の男性を起用すれば、男女問わず買いやすい状態を作れるでしょう。
このように、特段ターゲットを限定することなく、幅広く売り出していきたい製品に対してクレショフ効果を活用するときは、クレショフ効果によって、ターゲット幅が狭まってしまう、という事実にも注意が必要です。
③複数枚展開してストーリーを作ることも効果的
最後に、画像を複数枚展開してストーリーを作ることも効果的です。
例えば、スポーツ飲料の宣伝の場合。
まず初めに、真夏のカンカン照りの太陽を映す。
続いて、学生が男女混ざって運動で汗を流している様子を映す。
そのあとで、学生みんながスポーツ飲料を飲んでいる様子を映せば、
「暑い夏に汗をかいたあと、みんなでおいしく飲める飲料」というイメージを訴求できます。
クレショフ効果を活用する場合は、1枚の画像に固執しすぎず、画像を複数枚使って、ストーリーを作ることも効果的です。
まとめ
以上、「前後に映る画像や映像により人の心理が影響を受け、同じ画像でも全く違って見える」というクレショフ効果についてご紹介しました。
何か商品を売り出すときにはぜひ活用したい効果ですし、日々何気なくCMを見ている際も、「ここにはどんなクレショフ効果が使われているんだろう」と注意しながら見ると、日常の楽しみがひとつ、増えるかもしれませんね。
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