返報性の原理(法則)とは、社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニが著書「影響力の武器」の中で書いた6つの原理のうちの一つで、簡潔にまとめると、何かを受け取った時に「お返しをしなければ」と思う心理のことであり、ビジネスやWEBマーケティングに活用できる原理のことです。
当記事では、具体的にはどのような活用方法がるのか?返報性の原理について詳しく解説するとともに、WEBマーケティングへの活用方法について紹介いたします。
返報性の原理(法則)とは?
返報性の原理(法則)とは、社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニが著書「影響力の武器」の中で書いた6つの原理のうちの一つで、人は誰かに何かを施してもらった時に、その施しをしてもらった相手に対して「何かお返しをしなければ!」と思う心理のことです。
人は貰いっぱなし(自分だけが過剰に得している)な状況は心地良いと感じられない場合が多く、お返しをして差し引きゼロにすることで、貸し借りの無いスッキリした感情を得るものなのかと思います。
この「返報性の原理」を上手に活用することによって、ターゲットとなる相手にこちらの意図する行動を取ってもらえる確率が高まるため、様々なビジネスの現場において返報性の原理が活用されています。
特にWEBマーケティングは心理学の分野と相性が良いと言われています、コンバージョンに至る際の施策として、ターゲットとなるユーザーに何かを与えることにより成約率やメルマガ登録などのコンバージョン率アップに有効活用できます。
日常にある返報性の原理活用事例
ごく普通の日常生活にもよくあることで、例えば下記のようなものがあります。
試飲・試食
「返報性の原理」として最も簡単に思いつくものが、スーパーやデパ地下等でよく見る「試飲や試食」です。
試食や試飲をした後に「何か買わないと申し訳ないなー」という気持ちになった経験がある方も多いかと思います。実際購入したことある人も多いですよね。これは「返報性の原理」が働いている典型的な例です。
「無償で商品をもらう」ことによって返報性の法則が働き、お返しをしたい(商品を購入したい)という心理が働いています。
無料お試し・サンプル品
よくサプリメントや化粧品の販売などで見かける「無料のお試し」や「サンプル品」などを試供する方法も「返報性の原理」を働かせる上で非常に有効です。
また、美容サロンや脱毛サロンなどのサロンでも「初回無料」などの無料体験はよくありますよね。
例えば、脱毛サロンの無料体験をした直後に次回予約のオファーをされたら「お返し」の気持ちから有料での予約をしてしまう可能性が高いかもしれません。
このように実際のリアルな店舗などですと効果が高そうで、インターネットなど顔の見えない相手に対して無料サンプルを無制限に配るのは、効果を見つつ試していく必要がありますね。
SNSの「いいね!」
FacebookやTwitterなどのSNSサイトにおける「いいね!」の機能にも返報性の法則が活用できます。
SNSサイトで自分の投稿に「いいね!」を押してくれた人がいると、お返しとしてその人の投稿にも「いいね!」をあげたくなる人が多いと言われています。特に日本人は、自身の投稿に対して「いいね!」をされた際に返したりすることが礼儀であると捉えているユーザーは多いようです。
実際の生活の中だけでなく、インターネット上のバーチャルな空間におけるやりとりにも、返報性の法則を活用することができます。
[番外編]コンビニのトイレ
これは返報性の原理を狙ったものではないかと思いますが、渋滞に巻き込まれて途中トイレに行きたくなってコンビニに寄った時、トイレを借りただけで立ち去る人は少ないかと思います。何かやはりお礼(商品の購入)をする人は多いですよね。
このような場にも返報性の原理が心理的に働いていると言えます。
WEBマーケティングへの活用事例
ここでは、当社の得意分野であるWEBマーケティングにおける「返報性の原理」の活用方法を紹介します。
弊社での活用事例なども紹介させていただきますので参考にして頂ければと思います。
無料プレゼント
マーケティングの世界では、フロントエンド商品とも言いますが、有料の商品やサービスを提案する前に、無料プレゼントを受け取ってもらい、その中身に触れてもらうことで「返報性の原理」を働かせることを意図するものです。
無料でこれだけのものを受け取っておいて、何もお返しをしないわけにはいかないという心理が働きやすくなります。
多くの企業でも実施している例ですが、弊社で管理しているサイトでもメルマガ登録の際に「ホワイトペーパー」と言われる無料のPDFをプレゼントして、登録に促す方法を実践しています。
- プレゼントをもらえるなら登録しよう
- 無料で良いものをもらったから、メルマガを読んでみても良いな
そのような心理が働き、登録を促進することができます。
情報提供
オウンドメディアと言われるような、多くのWEBメディアが実施している例が「情報提供」です。
最近では多くの企業が自社のサービスに関連する内容のオウンドメディアを立ち上げたり、YouTubeの公式チャンネルを開設するなど、SNSなども活用して情報発信をしている時代です。
「情報提供」の目的の多くは、ターゲットとなるユーザーからの信用・信頼を積むことで、中立的な立場での情報配信を心がけていくと良いでしょう。
セールス色が強くなったりするとすぐにユーザーから嫌われてしまいます。あくまでもターゲットとなるユーザーが必要としている情報提供にとどめておく必要があります。そのように心がけて情報提供することで、「無料でここまで良い情報を提供してくれる!なんて良い会社なの!」と思ってもらうことで、自社の製品やサービスに興味を持ってもらうやすくなります。
現在、多くの情報はインターネットを通じて無料で手に入る時代です。変に出し惜しみしてユーザーからケチだと思われてしまうよりも、出し惜しみせずに積極的に情報提供をすることで、信用・信頼を上げていきましょう。
フリーミアム戦略
この戦略を聞いたことがある人も多いかと思いますが、返報性の原理を効果的に活用しているのが「フリーミアム」という戦略です。
フリーミアムとは、サービスの一部を無償で提供しながらも、基本的なサービスや機能以外の特別な機能や利便性を持つ上位版を有料で提供するというビジネスモデルです。
最近ではリモートワークで利用する人が増えた「Zoom」などもこの戦略の成功例の一つかと思います。
基本的には無料で使えますが、3名以上のミーティングでは40分までしか無料で使えません。無料で使用している時に一定以上の満足感を感じてもらうことで、それ以上使いたいユーザーはスムーズに有料プランへ移行することでマネタイズしています。
返報性の原理の効果を上げるためには
返報性の原理の効果を上げるため方法には下記のようなことが考えられます。
通常のサービス以外のサービス提供
海外の有名通販サイトのコールセンターで、その通販サイトでは売っていない「商品が欲しい」というお問合せに対して、担当者が他の店舗を紹介したことによって、その話が広まりそのサイトのファンが増えたというのは有名な話です。
取り扱っている商品をマニュアルに合わせて説明するだけのサービスではなく、ユーザーが本当に求めているものを提供することで、何ユーザーから返ってくることがあります。
期待を超える無料サンプル・無料体験
例えば無料サンプルの商品でも、言え安いビニール袋に入っているような、いかにも無料の試供品のような見た目のものですと、無料とはあまり有り難みを感じてもらえず効果が薄くなってしまいます。
無料といえども豪華な袋に入っていたり、サンプルとは思えない程の量が入っているなど、ユーザーの期待を良い意味で超える商品が届くと、返報性の原理の効果も高まります。
「こんな良いものをもらってそのままでは申し訳ない」と思わせるような無料サンプル・無料体験を提供することが効果的です。
まとめ
返報性の原理の活用は、人に情けをかけることは、その人のためではなく、人に対して情けを掛けておけば,巡り巡って自分に良い報いが返ってくるという「情けは人の為ならず」の考えを体現したようなものですね。
WEBだけではなく、幅広いマーケティングや営業活動などにも活用できる原理ですので、ぜひ普段から活用してみてください。
ただ単に「うれしい」「ありがたい」と感じる場合もあれば、一方的に施しを受けたままではマナーに反していると考えたり、何かで返さなければとプレッシャーになったりする場合もある可能性もあるので、相手との関係性などを考えた上で実施すると良いでしょう。
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