ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果とは教育心理学における心理行動の1つで、親や教師など他者からの期待を受けることにより勉強や作業など成果が上がる現象の事を言います。教師期待効果、ローゼンタール効果とも言います。
ピグマリオン効果はギリシャ神話に出てくる彫刻家ピグマリオンに由来しています。
ピグマリオンは、人間の女性に失望し自分で理想とする女性を彫像します。ピグマリオンはその彫像が人間になると信じ続け、それを見かねたアフロディーテが魔法を使い彫像を本当の人間にしたのです。
その他の心理的行動との違い
ピグマリオン効果は期待されるとその通りになるポジティブな効果に対して、それとは反対にゴーレム効果と言う心理的行動もあります。
他にもさまざまな心理的効果があるので紹介します。
ゴーレム効果
周りからの期待が低いと、その人物は周りが期待している通りにパフォーマンスが低下してしまう事があります。
ちなみにゴーレムとはユダヤの伝説の中の意志の無い泥人形の事です。
ゴーレム効果の例
先生が一人の生徒に対して悪い印象を持っていたとします。先生は無意識に生徒に接する態度が変わり、生徒は期待されていない事を感じ取ります。結果、生徒の成績が下がってしまう事があります。これはゴーレム効果によるものです。
ホーソン効果
ホーソン効果というピグマリオン効果に類似した心理行動もあります。
ホーソン効果とは、注目を浴びる事により、その期待に応えようとして良い結果を出すことが出来る心理行動です。アメリカのとある工場で行われた実験に由来しています。
ピグマリオン効果との違い
ピグマリオン効果は「期待」される事でその期待通りの成果を出すのに対して、ホーソン効果は「注目」や「関心」によってそれに応えようとする事で成果が出ます。
よく似た心理行動ですが微妙な差があります。
ハロー効果
ハロー効果とは一部の目立つ特徴や印象に引っ張られてしまい、他の部分の評価が歪められたり、その印象で全体を評価してしまったりする事を言います。
ハロー効果の例
「あの人は美人だから性格も良いだろう」と思う事もハロー効果です。ハローとは「後光」を意味していて、「ハローエラー」や「認知バイアス」とも言います。ハロー効果は印象によって自分の中での相手の評価が変わる事に対し、ピグマリオン効果は相手に期待する事で評価される対象が変わります。
ピグマリオン効果の心理実験とは
1963年にローゼンタールとフォードがとある実験を行いました。ネズミを使った迷路実験をする際、学生たちに「このネズミはよく訓練された賢いネズミ」「このネズミは訓練されていない動きが鈍いネズミ」と説明し学生たちのグループにそれぞれのネズミを渡しました。
すると、訓練されたネズミを渡された学生グループはネズミを丁寧に扱い、動きが鈍いネズミを渡された学生グループはネズミを雑に扱ったのです。この結果からローゼンタールは両者のネズミへの期待値の違いが実験の結果にも反映されたと結論付けました。学生のネズミへの接し方の違いは教師と学生の関係でも成り立つのではないかと考えられました。
翌年の1964年にサンフランシスコの小学校である知能テストが行われました。このテストはごく普通の知能テストでしたが、「今後成績が伸びてくる生徒を割り出すためのテスト」と担任に伝え、テスト結果とは関係なくランダムに選んだ生徒の名簿を担任に見せました。するとその後、名簿に載った生徒の成績が本当に上がっていったのです。報告論文によると、担任が名簿に載って生徒に成長を期待して接していた事と、生徒も期待されていると認識した事によりピグマリオン効果が発揮されてこのような結果になったとしています。
ピグマリオン効果をビジネスへ活かす方法
ピグマリオン効果はビジネスシーンでも活用が可能です。上司が部下をマネジメントする際にもピグマリオン効果は有効です。
例えば、複数の案件の1つを担当させたり、プロジェクトの一部を任せたりします。相手に裁量権を与え自らの意思決定により仕事が出来る状況をつくります。任された部下はやりがいを感じ信頼されていると思うでしょう。
また達成可能な課題や仕事を与える事で、仕事に対するモチベーションを上げる事が出来ます。上司が部下に仕事を任せる際には期待している事を直接言葉にして伝える事が重要です。
ピグマリオン効果をWebマーケティングへ活かす方法
ピグマリオン効果はwebマーケティングでも活用可能です。マーケティングで期待を伝える相手は顧客になります。
褒めてモチベーションUP+具体的PR
塾や予備校のwebサイトで入塾してから成績が伸びた生徒を「成績がグングン伸びている期待の生徒」として紹介したとします。塾に入ることを検討している人には具体的なPRになり、紹介された生徒は期待されている事でモチベーションアップに繋がります。
診断コンテンツ
診断コンテンツなども有効です。「あなたは〇〇タイプ」など診断テストはユーザーを楽しませる事が出来ます。また診断の結果によっては無意識のうちに期待をかけられた状態になります。「〇〇タイプのあなたにオススメはこちら」と商品の購入を促す事も出来ます。診断コンテンツはSNSで拡散されやすいので、宣伝効果になります。
ピグマリオン効果をデザインへ活かす3つのポイント
- サービスのポテンシャルを上げる事で顧客のモチベーションアップ
- 顧客のモチベーションがアップすると実績もアップするWIN-WINの結果に
- 否定や批判は逆効果。レビュー対策をしっかり行う
ピグマリオン効果の注意点
ピグマリオン効果は使い方によっては相手にプレッシャーを与えてしまいます。
あまり期待をかけ過ぎると、相手は期待に応えられないとマイナスな感情が出てきてしまいます。また褒め過ぎも禁物です。褒められた相手は現状に満足してしまい、手を抜いてしまいます。成長が止まってしまう可能性があります。
相手の性格やタイプに合わせて適宜に褒めたり、期待したりする事が大事です。
まとめ
今回はピグマリオン効果についてまとめてみました。ピグマリオン効果は、実際に体験した事がある人も多いのではないでしょうか。
正しく使えば、成長に繋がる心理行動なので、日常生活やビジネス、マーケティングに上手く活用してモチベーションの向上に役立てましょう。
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